研究概要 |
本年度は,まず上記研究課題にむけての予備的検討をおこなった。はじめに,NO_3還元反応に対して触媒活性があると期待される,Au(111)電極へのCd UPDおよびZn UPDについて,溶液中のアニオン種の影響をサイクリックボルタンメトリーを用いて調べた。これは,アニオン種によっては,UPDにともない電極表面に吸着することでN O_3還元反応に対する触媒活性を阻害する可能性があるからである。研究の結果,次のことが明らかになった。 Cd UPDについては, 1. 過塩素酸イオンはUPDにともない電極表面に殆ど吸着しないが,硫酸イオンおよびリン酸イオンは強く吸着する。 2. 臭化物イオンも,UPDにともない電極表面に強く吸着する。 一方,Zn UPDについては, 1. 過塩素酸イオンはUPDにともない電極表面に殆ど吸着しないが,リン酸イオンは強く吸着する。硫酸イオンの吸着力は,過塩素酸イオンとリン酸イオンとの間にある。 2. Cd UPDとは異なり,臭化物イオンは,UPDにともない電極表面に殆ど吸着しない。 という事が明らかなった。UPD金属とアニオンとの共吸着は,下地金属とアニオンとの相互作用だけでなく,UPD金属とアニオンとの相互作用も強く影響することが分かった。 これらの研究結果を受けて,現在は,実際にこれら電極触媒上でのN O_3還元反応について調査中である。来年度は,さらに,他の低指数面やPt電極に系を拡張して,研究を進める予定である。
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