研究概要 |
本研究の目的は、光学活性でない液晶分子を設計・合成して、強誘電性の液晶相を作る方法を確立することにある。具体的には、2つの液晶発現部位(メソゲン)を共有結合により強制的にねじれの位置に配置し、立体配座的に光学活性な化合物を合成し、その液晶相を調査し、さらに構造の最適化を行い、強誘電性液晶相を実現することにある。 本研究では、(R^2O-C_6H_4-COO-C_6H_4-COO-C_6H_4-CO)_2NR^11、(R^2O-C_6H_4-COO-C_6H_4-CC-C_6H_4-CO)_2NR^12、及び、(R^2O-C_6H_4-COO-C_6H_4-CH_2CH_2-C_6H_4-CO)_2NR^13、及び(R^2O-C_6H_4-COO-C_6H_4-CH_2CH_2-C_6H_4-CO)_2N(3-R^3O-phenyl)4の化合物の合成を行った。化合物2はまったく液晶性を示さなかったが、化合物1と3のR^1=R^2=C_8H_<17>においては、安定な液晶相スメクティックAが観測され、粉末X線回折により精査したところ、上下の層で分子が互いに入り込み、高度な秩序を有する特殊なスメクティックA相であることがわかった。4ではR^2=R^3=C_<12>H_<25>のとき、安定なスメクティックC相を示した。X線回折により、2分子がR^3を重ねるように二量体化していることが判明した。偏光顕微鏡観察では、光学活性なC相に特有な縞模様が見出されているので,カイラリティが生じている可能性が高い。現在、電気特性の測定による強誘電性確認のための準備を進めている。
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