Directional converter arm/top-loading balance法による微量試料用表面張力測定装置の開発を行った。本年度の成果は以下の通りである。 試料液体の垂直方向および水平方向の位置を1μmの精度で制御する必要があるため、コンピュータ制御により上下、前後、左右に1μm単位で移動する試料台を作成した。この試料台と分析用電子天秤の大きさに適するdirectional converterter armと、プローブとして使用する直径10mmのステンレス棒を作成し、内径100mmのシャーレに入れた水の表面張力測定を行い作成した装置が正常に機能していることを確認した。 表面張力測定に適したプローブの材質を調べるために、ガラスやテフロンなどでもプローブを作成し測定を行ったが、試料液体とプローブとの接触角および加工のし易さからステンレス棒が最適であることが分かった。 少量の試料液体で測定が出来るように、測定用容器を内径100mmのシャーレから内径16mmのバイアルに換え、プローブであるステンレス棒の直径も10mmから6mmに変更して、液面からのプローブの高さ(h)の関数としてプローブにかかる力(F)を測定した。試料液体には1mlの水を使用した。得られた結果は、Young-Laplace式から求めた理論曲線と良い一致を示した。測定に用いる液量を順次減らしていき、0.3mlまでは測定されたF vs.h曲線が理論曲線と一致することを確かめた。表面張力はFの最大値(Fmax)から求めることができるが、測定用容器の内径とプローブの直径を含む複雑な関数であり、その計算は容易ではない。現在Fmaxから表面張力を簡単に求める方法を検討している。
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