1.液/液界面吸着色素の動的蛍光異方性 界面吸着した蛍光プローブ分子の集団にS偏光のレーザー光を照射し、全反射蛍光減衰曲線の検光子角度依存性を測定することにより、界面吸着種の分子回転の自由度を見積もった。実際に、水/四塩化炭素界面において全反射蛍光減衰曲線の測定を行ったところ、検光子を45度傾けた時に単一指数関数の減衰を示した。このことより、水と四塩化炭素の界面は、分子レベルでフラットな二次元的な空間であることが分かった。一方、水/ジクロロエタン界面においては、検光子角度45度では単一指数関数の減衰を示さないことから、比較的乱れた界面であることが示唆された。 2.液/液界面における励起エネルギー移動消光ダイナミクス 励起エネルギー移動消光ダイナミクスの解析に用いられるKlafter-Blumenの式には、アクセプター分子の空間的な分布を反映するパラメータ(d)が含まれており、もし、励起エネルギー移動が二次元面内で起こるとdは2.0の値を取り、三次元的なエネルギー移動であればdは3.0となる。液/液界面に蛍光性のドナー分子とアクセプター分子を吸着させ、全反射条件下で励起エネルギー移動ダイナミクスの測定を行ったところ、水/四塩化炭素界面においてはd=1.9、水/ジクロロエタン界面においてd=2.5という結果を得た。従って、水/四塩化炭素界面はフラットな界面であり、水/ジクロロエタン界面は空間的に乱れた界面であることが分かった。
|