研究概要 |
1.ベンゾ-18-クラウン-6(B18C6)とZn^<2+>およびCd^<2+>による1:1錯体の水中における安定度定数を電気伝導度法により決定した。さらに,B18C6とピクラートイオンによるZn^<2+>,Cd^<2+>の水からベンゼンヘの抽出平衡定数を決定した。これにより,クラウンエーテルのZn^<2+>,Cd^<2+>に対する錯生成と溶媒抽出における選択性を初めて定量的に明らかにし,従来のサイズ適合説からの予想と異なることを見い出した。また,抽出平衡を構成する素平衡を解析し,抽出選択性の原因を解明した。 2.18-クラウン-6-Na^+錯イオン(18C6-Na^+)と数種のニトロフェノラートイオンとの水中におけるイオン対生成定数を,電位差測定法により求めた。さらに,これらのニトロフェノラートイオンによる18C6-Na^+の水からベンゼンヘのイオン対抽出定数を求めた。これにより,クラウンエーテルを用いたイオン対抽出における陰イオン効果を初めて素平衡に基づいて解明した。 3.Na^+選択性の高い配位子として注目されている16-クラウン-5と,その誘導体(15,15-ジメチル-16-クラウン-5および15-(2,5-ジオキサヘキシル)-15-メチル-16-クラウン-5)について,Li^+,Na^+,K^+,Ag^+,Tl^+,Sr^<2+>,Ba^<2+>,Pb^+との1:1錯体の水中における安定度定数を電気伝導度法により決定した。さらに,Li^+,Na^+,K^+錯体については,水-非水溶媒間移行活量係数を求めた。これにより,16-クラウン-5骨格に付加されたメチル基およびポリエーテル側鎖が,水中における錯生成能・錯生成選択能や錯体の水和に及ぼす影響を解明した。
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