本年度は、マイマイガLymantria disparのゲノムDNAにおいて、これまでに特定されていたマイクロサテライトDNA領域以外に更にいくつかの領域を特定した。これは、これまでに特定されていた領域が少なく、また、塩基配列が特定されていてもPCRで増殖しなかったり多型でなかった領域が多かったため、父子判定を行うのには不十分であったからである。 まずマイマイガの成体から抽出したDNAを、制限酵素MboIで切断し、これをプラスミドに組み込んで、大腸菌内で増殖させた。その後、このプラスミドをヘルパーファージを用いて一本鎖にし、マグネットビーズにつけた(GT)_<25>プローブを使ってマイクロサテライト領域を持つと思われるものを採取した。このようにして採取した一本鎖プラスミドを二本鎖にした後、再び大腸菌内で増殖させ、プラスミドだけを分離した。その後、採取したプラスミドが本当に目的のGT-repeat領域を含んでいるかを検証するため、ドットブロットハイブリダイゼーションを行った。その際、(GT)_<10>をジゴキシゲニンでラベリングしたものをプローブとして用い、アルカリンフォスファターゼ法による化学発光により検出した。この方法で目的の領域を含んでいると思われたものについてはプラスミド中の目的のDNAの塩基配列を全自動DNA塩基配列決定装置により決定した。このようにして決定されたマイクロサテライト領域の前後の配列からプライマーを決定し、この領域をPCRで増幅するための条件設定は現在進行中である。
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