植物は窒素源として取り込んだ硝酸をNADHを電子供与体とする硝酸還元酵素(NR)とフェレドキシンを電子供与体とする亜硝酸還元酵素(NiR)を介してアンモニアに還元する。申請者はこれまでの研究過程で、NiRと異なる亜硝酸をアンモニアに還元する新規酵素の存在が示唆される結果を得ている。そこで本研究ではNiRと異なる亜硝酸をアンモニアに還元する新規酵素を明らかにすることを目的として研究を行った。 亜硝酸還元酵素活性を抑制したトランスジェニックタバコ(clone271)植物およびタバコ野生株の葉の抽出液をネイティブPAGEで分離し、亜硝酸還元酵素(NiR)について活性染色を行ったところNiR活性を示す2本のバンドが観察された。2本のバンドのうち1本は、ネイティブPAGEゲルを抗NiR抗体を用いてイムノブロット解析して検出されたバンドの位置と一致したが、もう一つのバンドは一致しなかった。イムノブロット解析で検出されたバンドと一致しなかったバンドを切り出し、SDS PAGEで分離し、銀染色を行ったところ複数のバンドが観察された。タバコ葉抽出液を二次元電気泳動(二次元目はネイティブPAGEにより分離)により分離し、そのゲルについてNiR活性染色と抗NiR抗体を用いたイムノブロット法により解析を行ったところNiR以外の亜硝酸還元に関与するスポットが観察された。以上の結果よりNiRとは異なる亜硝酸を還元するタンパク質が存在することが強く示唆された。今後これらのスポットについて解析を進める。
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