イネにおいて酸素ストレスの防御に関与している3つの酵素、細胞質型スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、細胞質型チオレドキシン、グルタレドキシンのそれぞれの遺伝子の5-上流域には、非常に相同性の高い28bpの領域が存在している。これまでに筆者は、細胞質型SOD遺伝子のプロモーター領域のうち、この共通配列を含む77bpの配列がレドックス制御に関わるシス-エレメントであることを明らかにしている。本研究は、上記共通配列に結合するトランス因子の単離とキャラクタリゼーションを目的としているが、それに先立って平成11年度には次のような実験を行った。 1 上記細胞質型SOD遺伝子プロモーターの77bpの配列のうち、シス-エレメントとして機能する配列の特定を行った。チオレドキシン遺伝子、グルタレドキシン遺伝子においても保存されている28bpの共通配列を、CaMV35Sプロモーターとルシフェラーゼの融合遺伝子の上流に連結したレポーターコンストラクトを作製した。これをイネカルスに導入しトランジェントアッセイを行った結果、28bp共通配列がスーパーオキシドに応答するシス-エレメントであることが明らかとなった。 2 イネ核抽出物をSDS-PAGEで分画後Southwestern blotを行い、上記28bp共通配列をプローブとしてメンブレン上での結合アッセイを行った。その結果、この共通配列に結合する17kDaと24kDaの2種類の核タンパク質が検出された。
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