研究概要 |
○結晶化について__光化学系II複合体の三次元構造を解明するという研究目標に対して、本研究ではまずモノオレイン/ドデシルマルトシド(光化学系IIに最適な界面活性剤)の混合系の相転移ダイアグラムを解析した。これは、バクテリオロドプシンで成功した際のlipid cubic phase法では界面活性剤としてオクチルグルコシドを常温で使用していたためドデシルマルトシドを低温で使用した場合の脂質相の挙動は全く不明であったことによる。本研究によって、2つのlipid cubic phase、D表面を持つPn3mとG表面を持つ1a3dが4℃において3%ドデシルマルトシドの存在下でも構成されることがわかり、光化学系II複合体/モノオレイン/ドデシルマルトシド混合系のlipid cubic phaseを作る準備ができた。H12年夏オハイオ州立大に出向き現地でサンプルを大量調製した上で、このlipid cubic phaseの結晶化を試みる予定である。 ○部位特異的変異体について__2種類のHis-tagを付けた光化学系II複合体、また更に活性中心予想部位にも変異を導入した以下のような変異体-D1タンパク質のC末端部位L343,A344の変異体、TyrZ変異体、TyrZと相互作用していることが予想されるH190の変異体、水の酸化反応に際しプロトンをリレーしていると予想されるE189の変異体、第二キノンの還元にかかわるR257の変異体、D2タンパク質のTyrD変異体__を作製し、機能解析を行った。今後、機能の明らかとなったこれらの変異体を野生株と共に結晶化し、構造機能相関について詳しい知見を得る予定である。
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