植物の表層微小管は細胞膜に沿って存在し、新たに合成されるセルロースミクロフィブリルの方向を決定する。セルロースミクロフィブリルの方向は細胞の伸長方向を決定するため、表層微小管の配向は細胞の伸長方向を制御すると考えられる。表層微小管の構築機構を探るためには、表層微小管の重合、脱重合のメカニズムを知る必要があると考えられるが、重合、脱重合に関与するタンパク質の解析はほとんどされていない。 ガンマチューブリンは微小管のマイナス端に存在し、微小管の重合核になると考えられている。動物細胞ではガンマチューブリンは中心体に局在するが、植物の表層微小管においては明瞭な局在は示されていない。植物の表層微小管におけるガンマチューブリンの局在を明らかにすれば、表層微小管の構築機構の解明につながると考えられる。本研究では1本1本の表層微小管におけるガンマチューブリンの局在を電子顕微鏡レベルで決定する第一段階として、植物由来のガンマチューブリンに対する抗体作成を行った。 タバコ培養細胞BY-2からmRNAを調製し、東京大学の長田教授より提供いただいたガンマチューブリンの部分塩基配列を用いて、3'-RACE法によりガンマチューブリンcDNAの3'側断片を増幅した。塩基配列を決定したところ、得られたcDNAは2種類のmRNA由来であることがわかったが、コードするアミノ酸配列は同じであった。C末端側15個のアミノ酸配列を用いて合成ペプチドを合成し、BSAと結合させてウサギに免役した。現在、抗体作成を継続している。
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