1.外群の一つであるコミカンソウ亜科の種子と胚珠の解剖学とその分類学的意義についてまとめた。トウダイグサ科のなかで最も原始的なコミカンソウ亜科に分類されている8連50属112種の胚珠および種子の構造を観察、報告した。観察した全てのコミカンソウ亜科において珠皮が二枚でパキカラザが無い胚珠が見られ、内珠皮に維管束は無く、種子には仮種衣が無かった。しかし、内珠皮の厚さ、外珠皮の維管束の有無、最も機械的強度をもつ細胞層に基づいて分類した種皮のタイプ、内種皮外層を構成する細胞の形状で属間及び属内に重要な変異が見られた。種皮のタイプについては内種皮外層型、外珠皮内層型、内種皮内層型が見られた。内種皮外層を構成する細胞にはその細胞の形により6つのタイプが見られた。これらの胚珠及び種子の特徴を比較した結果コミカンソウ亜科は単系統ではない可能性が示唆された。以上の結果をまとめ日本植物学会誌(J.Plant Res.1114:(impress))に投稿、受理された。 2.外群の一つであるトウダイグサ亜科の種子と胚珠の解剖学とその分類学的意義についてまとめた。その結果、トウダイグサ亜科は全てパキカラザがない、内種皮外層が柵状になる。内珠皮に維管束がない点で非常に均質なまとまりを作っていることが明らかになった。しかし、内珠皮の厚さ、外種皮の厚さと、外珠皮の雌管束の有無、仮種衣の有無で亜科内に変異が見られた。この特徴からトウダイグサ亜科内の分類システムについての考察を行った。この結果をまとめ日本植物学会誌(J.Plant Res.)に投稿、審査中である。 3.エノキグサ亜科の種子と胚珠の切片約5000枚を作成し観察を行った。その結果、エノキグサ亜科には内珠皮及び外珠皮の厚さ、外珠皮の維管束の有無、仮種衣の有無に変異が見られた。この結果からエノキグサ亜科の分類システムについての考察を行い日本植物学会で報告した(於静岡大学)。またこの結果をBot.J.Linn.Soc.に投稿準備中である。
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