研究概要 |
Siの超高集積回路(ULSI)の高集積化の進行に伴い,低温での極薄(5nm以下)のゲート絶縁膜の形成が必要とされている。今年度は,Cat-CVD法におけるガス分解反応を応用して,Si基板表面の直接酸化により200℃程度の低温で極薄のSiO_2膜の形成を試みた。 水素終端処理したSi(100)基板をCat-CVD装置に搬入した。約10^<-6>Paの背圧を得た後にH_2とHe希釈O_2(5000ppm)の混合ガスを導入し,タングステン触媒体線を約1800℃に加熱した。Si基板表面温度:約200℃で酸化処理を行なった。 酸化処理前後におけるSi基板表面のXPSスペクトル(Si2p)を調べたところ,60分間の酸化処理によって,Si-O結合に起因した化学シフト成分が観測され,膜厚が約3nmのSiO_2が基板表面に形成されていることが明らかとなった。サブオキサイド成分量を調べたところ,高温熱酸化膜のそれとほぼ同量であることがわかった。また,電流密度-電界特性を調べたところ,酸化膜および電極形成後のポストアニール処理を一切行なわなかったにも関わらず,同程度の膜厚を有する高温熱酸化膜の特性と同等以上であることが確認された。容量-電圧特性を調べたところ,ヒステリシスはないものの,界面準位密度は,高温熱酸化膜のものよりも一桁大きいことが明らかとなり,今後の検討課題となった。
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