半導体自然超格子を用いたスピン偏極電子の生成と緩和の制御で重要なポイントはオーダーパラメターによる価電子バンド分離エネルギーの制御と自然超格子エピタキシャル膜のもつバンド構造のナノスケール揺らぎによる電子輸送機構にある。この半導体自然超格子のユニークな特徴を利用した新しいタイプの電子スピン生成と緩和過程の制御を実現するために本年度ではでは具体的に以下のようなアプローチで研究を行った。その結果の概要を以下に示す。 (a)半導体自然超格子におけるスピン偏極電子の生成を行い、オーダーパラメターによるスピン偏極状態の制御されていることを実証した。 (b)光励起状態の空間運動とスピン緩和過程を超高速時間分解測光により調べた結果、バンド構造のナノスケール揺らぎが励起キャリアのスピン緩和に関わる相互作用を大きくしていることを突き止めた。
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