本研究は、液体金属材料として低仕事関数のリチウムを用いた液体リチウム電子源について、陰極先端に形成されたリチウムコーンの仮想物点径(virtual source size)を電子線干渉法により測定し、実用上重要となる輝度を見積もるものである。このため平成11年度は、現有設備の電界放出顕微鏡(FEM)に除振と浮遊磁場対策を行なった後、電子線干渉装置として電子線バイプリズムを装着し、干渉実験を行なった。観測された干渉縞の強度分布と計算機シミュレーション結果を比較した結果、物点径は100nm以下であることが判った。この値は、従来の電界放出型電子源のそれに比べて大きいが、これはまだ装置の除振が充分ではないことに起因しており、現在その対策を急いでいる。現時点で得られている物点径の値と既知の放射角電流密度の値(20mA/sr)を用いて算出される輝度は、6.4×10^7A/cm^2・srである。
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