平成12年度では、非平行の第2高調波発生配置を用いた時間的ソリトンの発生について研究を進めてきた。非平行の第2高調波発生配置は、2枚の回折格子と1枚の非線形光学結晶によって構成され、基本波に非線形チャープを与えることによって、高効率の第2高調波発生は可能である。また、第2高調波における圧縮も可能である。さらに、時間ソリトンの発生により安定した第2高調波の発生も可能である。基本波のパルス幅が180fs、強度が25GW/cm^2、初期周波数チャープ率が3.07163×10^<25>s^<-2>、位相不整合が-7647.3m^<-1>、遅延時間が66fsの条件では、ソリトンの時間幅は139〜155fsであり、その波形は基本波のGaussian分布とほぼ同じである。また、変換効率は40%まで上げらえる。 一方、自己位相共役非線形光学結晶を用いたチャープパルス増幅レーザーシステムの空間的な波形制御に関する実験研究も行った。大阪大学レーザー研の協力を得て、Ce:BaTiO3による1053nm/110fsガラスレーザーの自己位相共役波の発生実験を実施し、反射率が15%の自己位相共役波が得られた。また、入射波と自己位相共役波における空間分布も測定し、その再現性について実験で確認した。 また、非線形光学結晶を用いた高調波発生に関する多次元の数値計算コードを完成した。このコードでは、回折、空間分離、位相変調、自己収束などの効果が含まれたので、高調波発生過程における時間分布のみならず、空間及びスペクトル分布についても評価することは可能である。
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