研究概要 |
本研究では,高調波発生の方法を用いずに時間信号である超短パルス光から信号のスペクトログラムに対して直接的に振幅情報のみならず位相情報を同時に得る方法の実現を目的としている。さらに、光情報処理技術と超短パルス光技術を融合することによるウェーブレット変換の特徴であるマルチリゾリューショナル解析などの信号処理の考え方を超短光パルス計測技術への導入を検討する。本年度の研究により得られた成果・知見は以下の通りである. 1.提案する光スペクトログラム計測の原理に基づく計測システムを試作した。計測するための既知の信号を発生させるためにパルス整形システムを作製した。作製したパルス整形システムからの既知の微弱信号光を計測することにより、信号パルスの振幅情報と位相状態の変化の計測が可能であることを確認した。確認実験の結果、平均出力数マイクロワット以下の微弱光の計測が可能であり、数100フェムト秒以下の時間分解および数ナノメートル以下の波長分解が可能であることを確認した。 2.試作した超短光パルスのスペクトログラム計測システムの検討を行い、提案する方法による超短光パルス計測システムの実現に必要となる具体的な検討項目の抽出を行った。検討項目として、以下の項目を挙げた。 1)計測信号の時間積分と信号対雑音比の関係の検討 2)光学システムの最適設計の検討(分散の影響) 3)スペクトログラム計測における時間分解能と波長分解能の最適化 4)計測データの解析方法の検討
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