本年度は、内部共振光第2高調波発生(SHG)導波路レーザ作製のための基本技術である、Nd熱拡散ニオブ酸リチウム基板での強誘電分極反転グレーティング作製法の確立を目指して研究をおこなった。その結果、以下のような知見を得た。 1 分極反転グレーティング構造を作製した後、ニオブ酸リチウム基板をNd熱拡散処理すると、分極反転構造が消失してしまう。 2 ニオブ酸リチウム結晶にNd熱拡散処理を施すと、Li_2O外拡散が生じて+Z面上で分極反転層が生じる。この分極反転層は、そのあとの電圧印加による分極反転グレーティング作製を妨げる。 3 ニオブ酸リチウム結晶へのNd熱拡散処理時に、Li_2O外拡散による分極反転層生成を抑制するためにあらかじめSiO_2スパッタ層(膜層〜10nm)を+Z面上に堆積しておけば、2で問題になった分極反転層生成を抑制出来ることがわかった。この方法で作製した、分極反転層のないNd熱拡散ニオブ酸リチウム結晶を用いれば、電圧パルス印加法により、その基板上に分極反転グレーティングが作製できることがわかった。 4 3で作製した基板に、周期電極を作製し、反転抗電界以上の電圧を印加することで、第2高調波発生に用いる疑似位相整合用分極反転グレーティングを作製することができた。Nd:LiNbO3導波路レーザによる発振波長1.084μmの光のQPM-SHG用の周期6.8μmの分極反転グレーティング作製に成功した。 来年度は、この分極反転グレーティングを有するNd熱拡散ニオブ酸リチウム結晶上に導波路レーザ共振器を作製して、内部共振光第2高調波発生導波路レーザの作製を検討する。
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