研究概要 |
希土類添加LiNbO3導波路レーザとLiNbO3第2高調波発生(SHG)デバイスを組み合わせた,高機能LiNbO3導波路発光デバイス実現を目的として研究を行い,次のような成果を得た. 1.昨年度確立した,Nd熱拡散LiNbO3基板上擬似位相整合SHG分極反転グレーティング作製技術を用い、内部共振型SHG導波路レーザを試作した.Nd熱拡散後に,周期6.8μm,相互作用長1mmの分極反転グレーティングを作製,ピロ燐酸中での選択プロトン交換とアニ-リングによりチャネル光導波路を作製した.その両端面に共振器鏡を接着した.こうして作製したデバイスを波長814nmのチタンサファイアレーザ光で励起すると,閾値45mWのCWレーザ発振が確認できた.発振波長1084nm,スロープ効率は0.5%であった.また,内部共振SHGによる波長542nmの緑色光も得られた.分極反転グレーティングの不均一のためにSHG規格化変換効率は0.5W^<-0.5>cm^<-1>と,予測値1.1W^<-0.5>cm^<-1>に比べて小さかった.それでもμWオーダの緑色出力を得ることが出来た.以上により,希土類添加LiNbO3導波路レーザとSHGデバイスの集積化技術を確立,その有用性が実証できた. 2.1.の成果を発展して実現する,波長多重光通信での要求が高い高速高効率波長変換デバイスの検討を開始した.希土類元素には波長1.5μm帯で光学活性なErをもちい,非線形光学差周波発生に基づく波長変換デバイスと組み合わせる.Erによる光増幅作用により,短相互作用長で高効率な波長変換デバイスが実現できる.レート方程式解析に基づいたEr導波路レーザのシミュレータを開発した.今後も検討を継続し,波長変換デバイスと組み合わせたデバイスのシミュレータ開発,デバイス設計,実現を図る.
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