研究概要 |
近年、2μmより長波長の中赤外域で同調可能なコヒーレント光源が、環境センシングや微量ガスのモニタリング、高分解能を要する分光分析など様々な分野で求められている。そのような分光用中赤外光源として,差周波発生(DFG:Difference Frequency Generation)による光源を用いることが考えられる。DFGとは非線形結晶において2つの異なるレーザー光源を混合することで、位相整合条件を満たす差周波出力が得られる。 本研究では二つの半導体レーザー(1020nmと825nm)を用いて、非線形周波数混合により周期分極反転LiNbO_3(PPLN:Periodically Poled Lithium Niobate)結晶中の差周波発生によるContinuous wave(CW)中赤外光源の特性を調べた。中赤外域における可変波長光源のためPulsed可変波長Ti^<3+>:sapphire レーザーを用いてPPLNの温度特性についてとコンパクトなシステムのためCW可変波長Cr^<3+>:LiSrAlF_6レーザーについて調べた。 本年度得られた研究成果は以下の通りである。 1.半導体レーザー(1020nmと825nm)でそれぞれの入力を53mWと59mWに対し波長4.3μmの差周波の出力が約400nWが得られて変換効率は0.058mW/W^2cmであった。 2.Ti^<3+>:sapphireレーザーの波長(815-835nm)に合わせてPPLNの温度16℃から40℃変えるだけで4μmから4.55μm範囲の差周波出力がえられた。 3.半導体レーザー(680nm)励起によるCr^<3+>:LiSrAlF_6レーザーの発振が得られた。Cr^<3+>:LiSrAlF_6レーザーのしきい値は60mWであり、240mWの入力に対し20mWの出力を得られた。
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