研究概要 |
本年度の研究成果として以下の結果を得ることができた. 1.非線形相補性問題はこらまでに多くアルゴリズムが提案されているが,それらのアルゴリズムが超一次収束するためには,解の周辺において,ある種の正則性を必要としていた.非線形補性問題を等価な方程式系に再定式化するアプローチと近接点法を組み合わせたアルゴリズムを提案し,そのアルゴリズムが正則性の仮定なしに超一次収束することを示した.さらに,本研究の設備費で購入したコンピュータを用いて,提案したアルゴリズムが望ましい性質を持つことを確かめた. 2.上記のアルゴリズムは非線形相補性問題が扱う関数が単調関数であるとき,大域的収束性が保証されていた.そこで,アルゴリズムに工夫を加えることにより,単調関数を含む広いクラスのP_0関数であっても大域的収束するアルゴリズムの提案をした. 3.非線形相補性問題やそれを含む均衡問題において,解に収束する点列が退化しているかしていないかを判別することは,アルゴリズムの解析や解の分析において重要な役割を果たす.近接点法によって生成される点列に対しての判別法を提案した.さらにその判別を用いることによって,有限回の計算で,線形相補性問題の解を求めるアルゴリズムを提案した.
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