接触電気抵抗法を用いた応力負荷条件下での酸化皮膜特性評価に関する研究

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 11750066
• 研究機関: 東北大学
• 研究代表者: RAJA KRISHNAN SELVA 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40302179)
• キーワード: 接触電気抵抗 / 電位依存性 / 繰り返し効果 / p型酸化物 / n型酸化物 / ヒステリシス

研究概要

応力腐食割れの発生及び進展に支配的な影響を有すると考えられている酸化皮膜の電気抵抗をIn-situ計測できる接触電気抵抗法により評価した。軽水炉環境として代表的な沸騰水型軽水炉環境中において最高温度288°の条件下で、Ni基合金600及び690、ステンレス鋼及び低合金鋼について、特に溶存酸素濃度の増減による電位変動が皮膜抵抗に及ぼす影響、さらに温度繰り返しによる皮膜抵抗変化について実験を行った。その結果、繰り返し数が少ない範囲ではあるが、電位及び温度のいずれの繰り返しにおいても皮膜の電気抵抗と電位(溶存酸素)または温度にはヒステリシスが認められ、皮膜形成、溶解に履歴が存在し、さらに繰り返しによる効果を認めることができる。またNi基合金については、600合金及び高Cr690合金の皮膜特性が大きく異なり、600合金上の酸化皮膜がn型であるのに対しCrを多く含む690合金はp型であることを明らかにした。このことは690合金の優れた耐SCC特性を皮膜特性から支持するものであり本研究で初めて明らかとなった。今後はSO_4^<2->やCl^-イオン添加の皮膜電気抵抗劣化への影響を明らかにするとともに、平成11年度末に導入予定の抵ひずみ速度負荷装置付接触電気抵抗装置により応力負荷条件下での酸化皮膜特性評価を行う。さらに負荷条件下で形成された表面皮膜の局所的な構造をラマン分光法により解明し、特にき裂内における局所的な水化学変化に対応する皮膜の形成に注目し、き裂進展に及ぼす影響を明らかにする。

研究成果

• [文献書誌] K.S.Raja, T.Masuda, T.Shoji and Y.J.Lee: "Studies on Surface Oxide Films of Stainless Steels Having Simulated Post-Irradiated Grain Boundary Chemistries"Proceeding of Ninth International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems - Water Reactors, Newport Beach, CA, Aug 1-5, 1999,. (in press). (1999)
• [文献書誌] G.Jagadeesh, S.Nonaka, H.Mizuno, K.Takayama, K.S.Raja and T.Shoji: "Experimental Investigations of Space Debris Using Hypervelocity Ballistic Range HBR-1"Proceedings of 38th Aerospace Sciences Meeting and Exhibit,10-13 Jan 2000, Reno, NV,AIAA 2000,Paper # 1012.. (2000)