研究概要 |
本研究は、シリコンウェハ裏面に加工歪層を付与して半導体デバイスプロセス中に生じる不純物をウェハ表面から除去すること,すなわちゲッタリングが半導体プロセスにおいて必要不可欠であり,かつ従来のSiO_2粒子を用いたサンドブラストでは粒子の汚染が問題となることを踏まえて,キャビテーションの崩壊衝撃力によるゲッタリング法の確立を目的とし,キャビテーション噴流によるシリコンウェハへの加工歪層の生成,キャビテーションによるゲッタリング効果の実証のために以下の研究を実施した。 1.キャビテーション噴流によるシリコンウェハへの加工歪層の生成 キャビテーション噴流式試験装置を使用して,種々の吐出し圧力,スタンドオフ距離(ノズルとウェハ表面間の距離)で,シリコンウェハにキャビテーション噴流を噴射し,種々の形態の損傷が与えられることを明らかにし,シリコンウェハを破壊することなく加工歪層を生成するための条件を明らかにした。なお同条件において,PVDFセンサによるキャビテーション衝撃力の計測を行い,噴流の流体力学的条件と衝撃力との関係を定量的に評価した。 2.キャビテーションによるゲッタリング効果の実証 加工歪層を熱処理して生成される酸化積層欠陥OSFはゲッタリング効果を有することから,キャビテーション噴流を用いてシリコンウェハに加工歪層を付与したウェハを熱処理し,OSFが生成することを実証し,キャビテーション噴流による加工歪層がゲッタリングサイトとして有効である可能性を示した。またキャビテーションの噴射条件とOSFの発生密度の関係から,OSFの発生密度向上のための指針を得た。
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