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1999 年度 実績報告書

分子動力学法における新しい温度制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 11750068
研究機関東北大学

研究代表者

萱場 智雄  東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60250677)

キーワード分子動力学 / 温度制御 / カットオフ / 速度スケーリング / Tersoffポテンシャル / シリコン / 計算力学 / 数値解析
研究概要

分子動力学法における新しい温度制御法の開発を目的として,カットオフ温度を導入したシミュレーションを行った。分子動力学法における簡易的な温度制御法としては,従来より速度スケーリング法が代表的に用いられてきているが,同法はシミュレーションにおいて系の真のダイナミクスを阻害してしまう可能性があると指摘されている。それに対し本研究では,カットオフ温度という従来なかった新しい概念をシミュレーションに導入することにより,計算量を一定に保ちつつ,かつ系の温度を安定に制御することに成功した。得られた成果を要約して以下に示す。
1.カットオフ関数のかかっている三体間ポテンシャルであるTersoffポテンシャルを対象とし,カットオフ温度をシミュレーションに導入する原理を詳細に検討し,その正当性を確認した。すなわち,カットオフ半径以内に近づいた二原子の温度が急激に上昇してしまうことに対して,所定の温度(カットオフ温度)を設定し,それを超えた原子にのみ速度スケーリングを適用し温度補正を施すことにより,系の温度を安定に保つことができる。
2.このとき,Maxwell-Boltzmann分布に純粋に従う原子に対しては,ほとんど影響がないことを,実際に分子動力学シミュレーションを行うことにより確認した。すなわち,3.に示す最適なカットオフ温度の取り方に従えば,最大でも総原子数の2パーセントの原子しか温度補正を受けないにも関わらず,系の温度を安定に保つことができる。
3.シリコン原子を対象とした分子動力学シミュレーションを行うことにより,上記のカットオフ温度の最適な取り方を模索した。その結果,今回計算モデルとして用いたシリコン原子4200個からなる系に対しては,3185.65Kが最もふさわしいカットオフ温度であることを示した。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 萱場 智雄 (井上 浩介,坂 真澄,阿部 博之): "カットオフ温度を導入した温度制御法による核発生機構把握の分子動力学シミュレーション"日本機械学会1999年度年次大会講演論文集(II). 99・1. 51-52 (1999)

  • [文献書誌] 萱場 智雄 (井上 浩介,坂 真澄,阿部 博之): "シリコン基板表面のアモルファス領域を対象とした核発生機構把握の分子動力学シミュレーション"日本機械学会論文集(A編). 65・639. 2348-2355 (1999)

  • [文献書誌] 萱場 智雄 (濱田 喜生,坂 真澄,阿部 博之): "ダイヤモンド核発生機構把握の分子動力学シミュレーション"日本機械学会東北支部第35期総会・講演会講演論文集. (掲載予定). (2000)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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