近年、半導体製品、およびこれを用いた機器の高集積化、高速化、小型化が著しく、電子デバイスをプリント基板に接続する実装技術に残された設計空間は非常に限られている。そのため、実装におけるはんだ接合部寸法のマイクロ化は進み、CSP(Chip Size Package)のはんだ接合部のように高さおよび直径は既に百数十ミクロンから数十ミクロンにまでなっている。本研究の目的はマイクロ接合構造のCSPはんだ接合部の疲労寿命信頼性評価手法の確立と簡易に実行できる機械的3点曲げ試験による疲労試験法の開発を目的とした。 平成12年度において得られた成果は下記のようになる。 (1)CSPはんだ接合部の3点曲げ疲労試験を行い、はんだ接合部の疲労寿命を計測した。試験条件に合わせてはんだ接合部の非線形解析を行い、はんだ接合部に生じる非線形ひずみを求めた。そして、実験と解析の結果から3点曲げ疲労試験でも従来の温度サイクル試験とほぼ同様にはんだ接合部の熱疲労強度の加速試験法として用いることができると明らかにした。 (2)さらに、3点曲げ疲労試験で得られたはんだ接合部の疲労き裂の発生寿命と進展寿命を計測した。その結果、3点曲げ疲労試験は基板の面外曲げ変形の顕著なパッケージに実装されたはんだ接合部の疲労寿命の挙動とほぼ一致することを明らかにした。また、はんだ接合部のき裂の発生寿命から線形被害則(累積則)に基づいて簡便にはんだ接合部のき裂の進展寿命を評価することができると分かった。 (3)各種のパッケージの結果から、はんだ接合部の疲労き裂の発生寿命とき裂の進展寿命の関係はほぼパッケージの反り特徴に支配され、パッケージの反り状態を計るパラメータを求めることによって簡単にき裂の発生寿命からはんだ接合部の最終は段寿命を予測する方法を提案することができた。
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