研究概要 |
本研究の目的は,層間高靱化型の繊維強化プラスチックス積層板を対象として,層間樹脂層厚さを変化させることによって,層間はく離き裂の伝ぱ特性を向上させる手法を検討し,数値シミュレーションを援用した最適層間厚さの探索システムを構築することである.本年度は,一方向炭素繊維強化高靱性エポキシ積層板(炭素繊維IM600,高靱性エポキシ樹脂QC133)を試験材料として,モードI(開口型),モードII(せん断型),および混合モードI+II負荷の下で,層間はく離き裂の伝ぱ試験を実施し,き裂伝ぱ抵抗に及ぼす層間樹脂層厚さの影響を実験的に明らかにした.また,層間の樹脂層が厚く,かつモードII負荷の割合が大きい場合に,き裂伝ぱにつれてき裂伝ぱ抵抗が著しく増大する機構を解明した.ついで,繊維,マトリックスおよび層間マトリックス層を区別したメゾメカニックス複合材料モデルを提案し,有限要素法あるいは境界要素法による数値解析を可能とした.このメゾメカニックス複合材料モデルを用いた弾塑性有限要素法によって,モードIおよびモードII負荷の下でのき裂先端塑性域の形状・寸法の解析を行い,層間樹脂層厚さの影響を検討するとともに,弾性応力分布を基にした塑性域寸法の簡便予測法を提案した.
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