研究概要 |
平成11年度では,Ni基超合金インコネル 718を用いて,室温および高温500℃下,大気中で回転曲げ疲労試験を行い,超高サイクル(10^8回まで)疲労における本合金の疲労強度について調べた.得られた結果は以下に示す. 1.本合金の場合,超高サイクル域(10^7回〜10^8回まで)においても,高温での疲労強度は室温でのそれに比べてかなり上昇していることが分かる.これは本合金の高サイクル域(10^5回〜10^7回まで)における疲労強度とよく似ている. 2.室温の場合,10^8回で定義した疲労限度と10^7回で定義した疲労限度との間に差はほとんどなかった.しかしながら,高温になると超高サイクル域での疲労限度は高サイクル域でのそれより大きく低下した. 3.高温の場合,応力ー寿命曲線が2段折れ曲がりの特徴を示している.すなわち,10^6回前後に一段目の折れまがりが生じた後,2x10^7回を超えてからふたたび試験片の疲労破断を起こり,10^8回前後に二段目の折れまがりがあらわれる. 4.走査型電子顕微鏡による詳細な破面観察を行った結果,室温,高温のいずれかの場合においても内部の欠陥や介在物に起因する内部破壊が生じた様子が観察されなかった.また,高温でのき裂発生および伝ぱ挙動を法により調べ,起点附近表面の連続レプリカ写真と破面SEM写真を照合した結果,超高サイクル域で生じる疲労破壊もやはり表面近傍の粒内すべりが起因であることがわかった. しかし,10^6回前後で一旦停留したき裂がふたたび伝ぱし始め,最終的に疲労破壊を引き起こす原因についてこれから明らかにする予定である.
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