円形部品は最も多く存在する加工物で、その寸法(半径)及び形状(真円度)に対する精度要求がますます高まっている。測定効率の向上や、修正加工への対応上から、直径と真円度を工作機械上で高精度かつ同時に測定することが重要な課題である。そのためには、工作機械主軸の回転運動誤差の影響を取り除くことが必要不可欠になる。研究代表者、円周の90°の位置に配置される1本の変位計と一本の角度計を用いて、工作機械の主軸の回転運動誤差と円形加工物の真円度形状(基準円からの形状偏差)を分離して求めることのできる直交型混合法を提案し、研究を行ってきた。直交型混合法では、変位プローブに直交する角度プローブ測定点での真円度形状の微分とともに、変位プローブ方向の回転運動誤差と平均半径との比が角度変化の形として、角度プローブ出力に含まれる。真円度測定を目標としたこの方法では、平均半径の公称値が既知としてこの角度変化を求めていたが、変位プローブ方向の回転運動誤差とこの角度変化が分かれば、両者の比から半径(直径)が求まることになる。本年度では、この真円度と直径を同時に計測する手法を実現するための測定システムを構築した。変位プローブには市販の容量型変位センサ(ADE製マイクロセンス)を用い、角度プローブはオートコリメーション原理のものを自作した。プローブを校正した結果から、プローブの線形誤差の最大値はそれぞれ200nm、±2secであった。角度プローブをさらに高精度に校正し、半径と真円度の同時測定実験を行うことが来年度の課題になる。
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