円形部品は最も多く存在する加工物で、その寸法(半径)及び形状(真円度)に対する精度要求がますます高まっている。測定効率の向上や、修正加工への対応上から、直径と真円度を工作機械上で高精度かつ同時に測定することが重要な課題である。そのためには、工作機械主軸の回転運動誤差の影響を取り除くことが必要不可欠になる。本研究では、円周の90゜の位置に配置される一本の変位計と一本の角度計を用いて構成するソフトウェアデータム(直交型混合法)により、工作機械の主軸の回転運動誤差の影響を取り除いた形で円形加工物の平均半径と真円度形状(基準円からの形状偏差)を同時に測定する方法を提案し、検証実験を行っている。本年度はまず前年度の結果を踏まえて、角度センサのその場自律校正法を提案して、試作したセンサを装置に取りつけたまま、その線形誤差を校正した。この校正結果を用いて補正をすることによって、センサの誤差を10秒から0.2秒程度に低減することができた。また、変位プローブは市販の容量型センサを利用しており、その線形誤差を従来の自律校正法によって校正を行っている。次に、半径と真円度の同時測定実験を行った。測定試料は公称半径40mmのアルミ円筒を用いた。±8μm程度の真円度誤差を±5nmの繰り返し精度で測定できた。また、半径測定値は40.174mmであり、繰り返し性は±10μm程度である。このように本研究の手法を用いることによって、半径と真円度を同時に測定することができた。さらに、自作の角度センサの安定性を改善すれば、半径測定精度は1μm程度に向上できる見通しも得られている。
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