研究概要 |
平成11年度は,実験装置を設計・製作し,磁性流体の磁気的・機械的特性を調べた.磁性流体の特異な機能に則した工具開発を行い,工具の挙動について検討した.以下に,その具体的内容を記す. 1.希土類(レアアース)永久磁石を用いた実験装置の設計・製作 本研究では,磁性流体を磁場の変動に感応させてバリ取り工具に加工力を与え得る加工装置の形態を考案し,これを具現化する装置を設計・製作した.磁場発生源には希土類永久磁石を用い,永久磁石を移動・回転させることにより加工部に変動磁場を発生させた.加工部の磁場強度,磁場の変動方向,変動速度は,磁石の配置,移動方向,移動速度によって制御できるようにした. 2.磁性流体の機械的・磁気的特性,工具の具備条件に関する検討 当初の予定では,プラスチック製ボールを用いて磁性流体の挙動を観察することになっていたが,本研究では,市販のダイヤモンド砥粒を磁性流体に混合させた加工条件において磁性流体の挙動を観察した.砥粒の混合割合,混合液の供給量,磁場の変動速度が溶液の推進挙動に及ぼす影響を調べ,混合液が推進するために考慮すべき項目を明らかにした. 3.工具(砥粒)挙動に関する検討 項目2.の結果を基にして加工条件を選定し,砥粒と磁性流体の混合液中に試験片として板状工作物(黄銅,アルミニウム合金)を挿入して加工実験を行った.工作物表面に生ずる砥粒の加工軌跡を購入した測定顕微鏡を用いて観察するとともに,表面粗さプロフィールの時間的変化も調べた.砥粒の加工性能を検討した.また,本加工法の可能性を明らかにした.
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