研究概要 |
本研究は,微細回路パターンにレーザビームを照射した際に得られる散乱光分布のオンアクシスフーリエ変換ホログラフィ像を解析することにより,光学的回折限界を超えた微小な外観不良を高速に計測する手法の確立を目的とした基礎研究である.本年度は基礎的現象の解明と測定原理の確立を目的として,Maxwellの方程式に基づいた電磁波散乱シミュレーションによる基礎解析ならびに微細回路パターン外観不良検出光学系の構築を行い,下記のような研究成果が得られた. (1)電磁波散乱理論に基づいた2次元電磁波散乱シミュレーション解析 Maxwellの方程式を積分表現し離散化することで得られる電磁波散乱理論に基づいた2次元電磁波散乱シミュレーションを構築した.当年度は,微細回路間の絶縁層として用いられる酸化膜をモデル化し,欠陥存在時にどのような,散乱解が得られるのかを解析した.その結果,欠陥の深さ,巾の情報が,遠方散乱場の角度分布情報から,推定できることが分かった. (2)微細回路パターン外観不良検出光学系の構築 アルゴンイオンレーザ(波長448nm),超高倍率対物レンズ(200x,N.A.0.95),対物レンズ位置決め用PZT(フィードバック制御付)等から構成されるオンアクシスフーリエ変換ホログラフィ光学系の構築を行った.当年度は,微細回路創成前のベアウエハ上の微小付着異物の検出を行うとともに基準微細回路(0.25μmルール)の光学的応答について実験的に検討を行った.その結果,本光学系により,0.1μm以下の付着異物の検出が可能なこと,また,基準微細回路(0.25μmルール)からも,重要な検出パラメータである光散乱パターンの検出が可能であることが分かった.
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