本研究では、複数の解像度の異なる液晶パネルを組み合わせて、見かけ上の液晶の能力を向上させ、これをゾーンプレート干渉計に組み込み、柔軟・迅速・精密に光学素子の形状誤差測定を行うことを目的とし、液晶ゾーンプレート干渉計装置を試作し実験を行った。 はじめに、同一解像度の液晶を組み合わせたゾーンプレート干渉計の試作を行い、球面鏡の測定実験を行い、液晶パネルを組み合わせることによる問題点の調査を行った。その結果、液晶パネルを密着して配置した場合でも、液晶パネルの表示領域外の部分が測定領域を遮蔽し、測定不能領域が発生するという問題が生じた。この問題は、測定領域をずらし、複数回測定を行った結果を重ね合わせることで回避した。また、液晶パネル相互の配置誤差も測定に影響するが、これは、液晶パネルに表示するパターンを変調することで、対応できることを確認した。 つぎに、異なる解像度の液晶パネルを組み合わせたゾーンプレート干渉計の試作を行い、同様の実験を行った。ゾーンプレートは、中心部分から周辺に向かって空間周波数が高くなる同心円状の回折格子であるため、低解像度の液晶パネルを中央部分に配置し、その周辺に高解像度の液晶パネルを配置した。その結果、液晶パネルを単独で使用した場合に比較して、広範囲の領域を測定することが可能となった。 高解像度の液晶パネルだけを利用して、同領域の測定を行うことも可能ではあるが、数十枚の高解像度液晶パネルとそれを制御するコンピュータが多数必要となるため現実的ではなく、今回提案したように、場所によって解像度の異なる液晶パネルを配置することが有効であることを確認した。
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