研究概要 |
ターボポンプ軸受は液体燃料ロケットエンジンにとってきわめて重要な部品であり、性能・寿命・信頼性の限りない向上の追求が肝要である。従来使用されているボール軸受を,潤滑性と耐久性,経済性に優れ,小形・軽量で構造が簡単な静圧ジャーナル軸受に置換する研究・開発が進められているが,その特性はいまだ明らかにされていない。 本研究は多数のリセスが2列千鳥状に配置された静圧ジャーナル軸受を解析対象としている。ロケットエンジン起動・停止時において軸受差圧は大きく変化する。このときの軸受特性を数値解析により明らかにしようとするものである。平成11年度において得られた結果の主たるものは次のようである。 実機のターボポンプ特性に基づき,ロケットエンジン起動時のジャーナル回転数の増大に伴い液体水素の供給圧が上昇し,軸受差圧が変化する場合を想定した。リセスが2列千鳥状に配置されたグループのある軸受と,グループのない軸受の動特性を求めた。グループのある軸受は,グループのない軸受より流出量が50%大きいにもかかわらず,弾性係数の主方向成分が35%小さいことがわかった。さらに,この動特性をもとに,不釣合量を1gcmとし,複数固有値解析により不釣合応答計算を行った。グループのある軸受はグループのない軸受より,剛体1次モード,2次モードの減衰比がそれぞれ25%,50%小さい。また,剛体1次,2次モードでの両軸受の固有振動数は,いずれもジャーナル回転数より十分低いことを明らかにした。
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