研究概要 |
スクイーズ空気軸受は,対向する2面間(軸-軸受面)の相対的な垂直方向の振動により,すきま内圧力の一周期間の時間平均値が周囲の圧力より高くなる効果(スクイーズ効果)を利用して,回転軸を非接触で支持するものである.また,振動の中心位置を移動させることにより,軸の非接触位置決めも可能になる.本研究において提案するアクティブスクイーズ空気軸受は,圧電素子の高周波振動によって発生するスクイーズ空気膜を用いた回転軸の完全非接触支持と,精密位置決めに用いられる圧電索子の変位制御により,運動誤差をリアルタイムに補正することで超高精度な回転軸系を実現できる. 本年度は,スクイーズ空気軸受のラジアル軸受としての特性を評価するため,スラスト荷重は静圧空気軸受で支持し,回転力の伝達を磁気カップリングにより非接触で行うことで,回転軸を完全に浮上させることのできる装置を試作し,発生する空気膜の特性について検討を行った.その結果,発生する空気膜により,1rpmで回転する軸の非接触支持が確認された.また,回転軸の運動誤差を測定し,リアルタイムで誤差を補正するシステムを構築した.その結果,PI制御により6rpmで回転している軸の心振れ3.0μmを1.0μm以内におさえることが可能であった.この値は,駆動周波数およびその倍成分に同期した微振動の振幅を含んでいる.10Hzのローパスフィルタを通した場合の心振れば0.06μmとなった.以上の結果より,本研究で提案した,超高精度な回転軸系を可能とするアクティブスクイーズ空気軸受実現の可能性が見出された.
|