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1999 年度 実績報告書

人工関節材料の生体内摩擦・摩耗機構の解明と生体外トライボ評価法に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11750122
研究機関九州大学

研究代表者

澤江 義則  九州大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (10284530)

キーワード人工関節材料 / 摩耗試験 / 超高分子量ポリエチレン / トライボロジー / 血清タンパク質 / 牛血清 / 多方向滑り / 摩耗機構
研究概要

本年度は多方向滑りピン・オン・ディスク試験機を用いた摩耗試験を通し,生体内に含まれる生化学成分がUHMWPEの摩擦・摩耗に及ぼす影響について実験的に評価した。本研究では潤滑液にリン酸緩衝液を用い,これに血清タンパク質であるアルブミン及びγグロブリンを生理的濃度で加えることにより,これらの成分の摩擦・摩耗に及ぼす影響を評価した。また関節液と成分組成が近いと思われる希釈牛血清を用いた試験の結果と,先のタンパク溶液を用いた試験の結果を比較することにより,タンパク質以外の微量成分の影響を評価した。実験では摩擦及び比摩耗量を計測すると共に,FT-IRにより試験後のUHMWPE表面の組成分析を行い,潤滑液中の生化学成分とUHMWPEとの相互作用を検証した。さらに摩耗面の微細構造をAFMにより観察し,摩耗機構との関連を検討した。
一連の実験結果より,何ら生化学成分を含まないリン酸緩衝液中と比較し,タンパク溶液中では摩耗が増加すること,またタンパク質に加え脂質等の微量成分を含む牛血清中ではさらに摩耗が促進されることが示された。FT-IRによる分析では,生化学成分のUHMWPEへの取り込みが認められ,特に脂質の影響が大きい可能性が示唆された。更にAFMによる観察結果からも,摩擦面での生化学成分による主鎖切断と低分子量化の促進,それによる脆化と摩耗の促進というメカニズムが推測された。
これらの実験と平行し,血清を用いた生体模擬環境下でのセラミックスや耐食性金属等の人工関節材料の摩耗評価も行った。また位置決めテーブルを用いた多方向滑り摩耗試験機の製作も進めており,来年度はこの装置を用いて滑り方向変化の影響をより詳細に検討する予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] 澤江義則: "超高分子量ポリエチレンの摩擦・摩耗に及ぼす力学因子及び生体環境因子の影響"日本臨床バイオメカニクス学会誌. Vol.20. 297-301 (1999)

  • [文献書誌] 澤江義則: "多方向滑り試験による超高分子量ポリエチレンの摩耗評価"トライボロジー会議予稿集. 1999-5. 91-92 (1999)

  • [文献書誌] Y.Sawae: "Improvement in Microstructure and Wear Property of Alumina Ceramics for Joint Prostheses"Bioceramics. Vol.12. 99-102 (1999)

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公開日: 2001-10-23   更新日: 2016-04-21  

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