研究概要 |
ELID研削とは国内外で実用化され始めている新しい加工技術である。このように加工技術が多様化高度化してきたのにかかわらず,平面加工においては,依然として加工表面の評価は主に表面粗さ,平面度等でなされることが多い。本研究では加工面品質を評価する手段の一つとして摩擦摩耗試験を行い,表面加工条件の違いがのトライボロジー特性に及ぼす影響を明らかにする。具体的には,加工条件の中でELID電解効果が硬質被膜材料のトライボロジー特性に及ぼす影響を調べるために,比較実験として同一の加工装置を用い,砥石粒径,砥石回転数,ワーク回転数,送り速度等の加工条件を一致させ,通常の研削を行った硬質被膜材料も使用する。本研究において,研削にはELID装置を搭載した横形精密ロータリ平面研削盤,片面ラップ盤及び立形ロータリ平面研削盤を用いて,_<400〜>8000の幅広い粒度の砥石を使用し,電解条件等の各種研削加工条件を変化させ,硬質被膜材料の鏡面研削を行った。種々の条件下でELID研削加工が行われた各種硬質被膜材料に対し,摩擦条件を変化させ,摩耗試験を行い,以下の知見を明らかにした;1.通常の研削を施した場合,いずれの荷重においても比摩耗量は1.0×10^<-10>mm^2/N以上の高い値を示すが,ELID研削を施した場合,いずれも1.0×10^<-10>mm^2/N以下の値を示し最小荷重下では,通常の研削を施した場合の約1/17の値を示す。2.摩擦摩耗試験を行うことにより,微細加工面の評価を行うことが可能である。以上より,2種類の研削法において,加工後の表面粗さの違いは極わずかであるが,その僅かな表面粗さの違いは,大きな摩耗特性の違いとなって拡大されることが明らかとなった。
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