本研究は「条件付二点相関法」を用いて、乱流組織構造の時間的非定常性や渦構造の空間分布を明かにすることが目的である。 解析対象とした乱流の測定として、矩形板後流の速度移動を測定した。その結果、矩形板近傍の平均速度分布には、特徴的な2つの変曲点が存在することが明らかになった。この変曲点は速度変動の乱れ強さのピークが2つ存在することに対応する結果である。これまでの研究では、逆流を含む近傍領域の詳細な構造は明らかになっていないので、本研究の二点相関法により、この2つの変曲点をもたらす構造を抽出できる可能性がある。また、逆流を測定できるスプリットフィルムプローブの2点同時測定も行った。 実際の測定と並行して数値シミュレーションを行った。その結果、実験と同じ速度分布の2つの変曲点が確認された。シミュレーションにはのNagare3D((株)計算流体力学研究所)、およびFluentを使用した。 条件付二点相関法のアルゴリズムに関しては、レイノルズ応力テンソルと相互相関テンソルより、評価係数を求めるプログラムが完成した。プログラミング言語にはFORTRANを使用した。次年度では、Guezennecら(オハイオ州立大)によって提案された、多点測定の情報から任意位置の2点相関を複数個採用した関数系から、時空間構造を構築できるようプログラムを拡張する予定である。
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