研究概要 |
本研究では,環境汚染物質の無害化に向けた新たな学問体系の構築を目的とし,本年度では主に非平衡電磁熱流動場の実験的解明や制御システムの構築を行った。新たに得られた知見や基礎資料等を以下に記す。 1.巨視的な流動場の可視化 PIVシステムで計測した微粒子の二次元速度ベクトル場より,粒子速度はガス混合や磁場で制御可能である事が知見され,さらに数値実験で微粒子の分散特性を把握する事で,有害微粒子の分解制御を行うための基礎資料を得た。 2.微視的な電磁流動現象の把握 電磁熱流動場高速計測システムを構築し,磁場強度,放電電流,ガス混合比やガス流量等の制御因子と発光強度,ガス温度やプラズマパラメータ等の特性値との相関を明らかにし,放電電流や磁場強度と発光強度との間に線形的な強い相関が現れることや磁場下で発光強度の乱れが抑えられることを新たに知見した。 3.混合ガス濃度場の磁場制御 磁場の印加により,He混合Arプラズマジェット中のHe濃度はジェット高温領域の周囲でより大きくなる。また,磁場の印加は混合したN_2の解離を促進する。これは,有害ガスの分離・解離の磁場制御可能性を示した新たな知見である。 4.RFプラズマの温度場 ガス注入特性は,無旋回シースガスでリング状の高温領域が,旋回シースガスで球状高温領域が形成される。ガス混合特性は,N_2混合で発光領域の縮小と温度上昇が起こることを新たに知見した。 5.プラズマの制御特性 放電電流,磁場強度を制御要素,発光強度を制御対象としたフィードバック制御システムの構築を行い,放電電流で発光強度を幅広く制御できることや,磁場強度で狭い範囲を精密に制御できることを明らかにし,有害ガス無害化プロセス制御システムの構築の基礎資料を得た。
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