研究概要 |
キャビテーション気泡群の運動,および火山地下に存在する熱水中の気泡運動をテーマに,数値的,実験的研究を行った。 まず,蒸気-不凝縮ガス二成分系気泡の膨張・収縮運動を解析するための数値計算コードを新たに作成した.このコードは,気泡内・外,および気液界面における熱・物質輸送現象を考慮し,気泡の膨張・収縮運動に対するこれら輸送特性の影響を定量的に評価できることが特長である. 作成したコードを用いて,火山性微動などの地震波によって励起される熱水中の気泡運動を調べた.計算の結果,地震波程度の低周波数(1Hz-100Hz)領域では,気液界面における蒸発・凝縮現象が気泡の膨張・収縮特性を支配していることがわかった.また,界面では蒸発・凝縮速度は,界面における不凝縮ガスの輸送特性によって大きく変化することがわかった.さらに,計算結果をもとに,気泡の膨張・収縮特性を予測する簡便なモデルを新たに提案し,その妥当性を確かめた. 次に,キャビテーション気泡群の崩壊挙動に対する気泡数密度分布の影響を調べる実験を行った.縦型液体衝撃波管によって圧力変動を与え,電気分解法を用いて発生させた多数の微小気泡核の膨張・収縮特性を高速度ビデオカメラを用いて観察した.また,気泡群近傍に設置した圧力センサーによって,気泡群が放射する圧力変動の計測を行った. 実験結果から,まず,気泡群が最収縮する際に高いピーク圧力が発生すること,および,気泡群の膨張・収縮周期を構成する気泡のサイズに依存することを確かめた.さらに,複数の気泡群が存在する場合,それぞれの気泡群が持つ固有の周期的運動に加えて,群同士の相互作用による気泡群の崩壊挙動が発生することを明らかにした.
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