本研究では先ず従来の離散要素法を出発点として付着力を考慮した数値計算法の開発を行った。解析対象とした粒子個数は約1万個である。粒子の接触点にそれぞれ粒子自重の4倍から20倍の付着カを与えることによって粒子の付着牲を考慮し、直方体容器に粉体粉体を充填する操作を数値計算した結果、空隙率がε=0.61〜0.70の高空隙率状態の粒子群が得られた(付着カが大きい粒子ほど高空隙率で充填される)。計算結果を現実の付着性粉体の充填状態と比較したところ、空隙率や内部の粒子配列は実験結果とほぼ一致した。 次に、上述の結果を踏まえ、フラッシング現象の数値解析プログラムの作成を行った。各粒子の運動は粒子間相互作用の計算に付着カを考慮した離散要素法を用いてLagrangian形運動方程式を解き、気流の運動はNavier-Stokes式と連続の式の直接計算により解いた。粒子と気流の相互作用は両者の相対運動によって生じる抗力と揚力によって考慮した。数値計算を行った結果、粒子層上部の空気を加圧することによって粒子群が流動化され、気流とともに小孔から噴出するフラッシング現象を表現することができた。また付着力を変化させて得られた種々の空隙率の粒子群を対象として数値計算を行ったところ、フラッシングは初期空隙率がある値よりも高くないと起こらないこと、フラッシングが起こる場合でも粒子が圧密されて空隙率が低下していくと粒子群は流動化しなくなりフラッシングが止まること等がわかった。これらの事実は最近の実験による研究の結果ともよく一致している。
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