本研究では平成11年度に開発した粉体のフラッシング現象の数値解析プログラムを基礎として、粒子の大きさ、付着力、摩擦力等を変化させたときにフラッシング現象の発生状態がどのように変化するかを数値計算によって明らかにした。フラッシング現象を引き起こす付着性粉体を構成する粒子の運動は粒子間相互作用の計算に付着力を考慮した離散要素法を用いてLagrangian形運動方程式を解き、気流の運動についてはNavier-Stokes式と連続の式を直接計算により解いた。なお粒子と気流の相互作用は両者の相対運動によって生じる抗力と揚力によって考慮した。その結果、粉体のフラッシング現象は初期空隙率がある値よりも高くないと起こらないこと、フラッシング現象が起こる場合でも粒子が圧密されて空隙率が低下していくと粒子群は流動化しなくなりフラッシング現象が止まること等がわかった。また粒子の大きさは小さいほど、粒子間の付着力は大きいほど、粒子間の摩擦力は小さいほど、それぞれフラッシング現象は発生しやすいことが数値解析の結果からわかった。これらの事実は炭酸カルシウム等の現実の付着性粉体を用いて行った実験結果とよく一致した。数値計算では実験的に知ることが困難な瞬時瞬時の粒子(粉体)層の内部状態を求めることが可能で、本計算によって粒子(粉体)層内の気流と粒子の速度分布ならびに気流の圧力分布等も明らかになった。またフラッシング発生時に開口部から噴出する粉体の流量が脈動するのは、開口部出口近傍におけるアーチの形成と崩壊の繰り返しによるものであることが数値的にも確かめられた。
|