研究概要 |
本研究の目的は,電磁流体力学(MHD)効果を利用して磁場の作用下で強力な自励式非平衡高速プラズマ流を大気圧下で安定に形成する手法を開発し,この非平衡プラズマを利用した,大容量、高性能、新型プラズマリアクターを試作して,化学反応を伴う非平衡プラズマの詳細を解明し,化学的に安定で通常のリアクターでは分解が困難なフロン,ハロンなどの地球温暖化ガスあるいはNOx,SOxなどの有害ガス分解性能の大幅な向上を図ることにある.作動流体として,地球温暖化に関連するNOxが主成分の模擬排ガスの分解実験を行った.加えて近年問題となっているディーゼル機関の排気ガスをサンプルし,それに含まれるNOxの分解実験を新たに行った.所定の濃度と湿度,流量,温度に調整された混合ガスを流路に流し,磁場を印加し,電極間に高電圧,高周波電圧あるいは負荷を接続して,強力な非平衡プラズマを形成する.非平衡プラズマによる化学反応により,発生したNO_2は次段のケミカルリアクターに送り,化学反応処理させる.その結果,無害物質となって排出することができた.また,ガス状反応生成物の濃度測定とケミカルリアクター内でのイオンの分析,消費電力の測定,非平衡プラズマ流の電子温度ならびに反応性の向上のための電源,負荷,磁場の最適条件を決定し,従来にない高いエネルギー効率(低いSED値)を達成した.また,化学反応過程の同定を行った.磁場が分解率に及ぼす影響は条件によっては存在することが明らかにされているが,明確には判断できなかった.また,非平衡プラズマ流のシミュレーションコードを改良して,ガス分解の化学反応を組み込み,リアクター内の流れの数値シミュレーションプログラムを作成した.
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