研究概要 |
ガソリン直噴機関用スワールインジェクタを対象に,インジェクタ内部と噴口から下流部における数値計算をVOF法を用いて行った.計算結果の検証のために実験も行った.実験装置には大型定容容器を用い,これに広範囲での測定が可能となるよう大型の石英ガラスを組み込み,粒子径と流速測定及びレーザトモグラフィとシュリーレン法による可視化を行った.燃料にはn-へプタンを用い,雰囲気圧力は0.05MPaから0.5MPaまで,噴射圧力は最大6MPaまで変化させた.また雰囲気気体の粘性の影響を調べるため,ヘリウム及びメタン雰囲気中での非蒸発実験を行った.計算の方は,実験と同一条件とした.この結果,噴射圧を変えても噴霧広がり角度は殆ど変化しないが,雰囲気圧を変えると変化すること,雰囲気の粘性が分裂過程に影響を及ぼすことなどが実験と計算の両面から明らかになった.このようなマクロな傾向に関して,計算は実験結果を予測できたが,定量的な比較を行うために,実験では噴射初期の場の拡大撮影が必要であるし,計算ではより分裂が進んだ時間における結果を出す必要があり,今後,蒸発モデル,キャビテーションモデルについて検討を行う必要のあることが分かった.
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