| 研究概要 |
本研究の目的は,液体燃料の微粒化促進法として期待できる液滴の破裂燃焼機構の解明を行うことである.多成分から成る燃料を用いて非接触単一液滴の燃焼実験を行い,破裂燃焼現象の確率的側面の把握および現象の確率的挙動を記述しうる破裂燃焼モデルの構築を目指した.
1.液滴燃焼実験 非接触液滴燃焼実験装置を用いて,通常重力場での液滴燃焼実験を行った.燃料には揮発性の大きく異なる二成分から成る混合燃料を用いた.破裂燃焼現象の確率的特性として,本年は液滴爆発の開始時間および爆発直後の火炎直径に現れる確率的特性に着目し,これらのデータの統計処理を行った.その結果,同一初期液滴直径,同一時間に対してもデータは実験誤差以上にばらつくことがわかり,本質的に確率的特性をもつ現象であることが確認された.これは液滴内における気泡核の生成の持つ確率的側面が破裂燃焼現象に現れたものと解釈できる.実際の噴霧燃焼への適用を考え,これらの特性に及ぼす液滴の初期直径の影響も調べた.破裂燃焼の発生は初期液滴直径に大きく依存していることが明らかになった.燃焼現象に及ぼす重力の影響を排除するために,微小重力実験も試みた.また,この結果を実際の燃料の解析へと拡張する目的で三成分燃料を用いた実験も進めた.
2.理論解析 実験結果を参考に,液滴の破裂燃焼モデルの構築を進めた.準安定液相における気泡核の生成を考慮した破裂燃焼の開始を記述するモデルの構築を行った.モデルを基に,破裂燃焼の開始について数値計算を行い,実験結果との比較を行った。モデルは実験結果を定性的によく説明できることがわかった.特に,通常の液滴燃焼では見られない,確率的特性の初期液滴直径依存症を明確に説明することができた.
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