研究概要 |
乾燥熱風として過熱水蒸気を用いる過熱水蒸気乾燥の初期に見られるような,大気圧下での過熱水蒸気が常温付近の低温の物体と接触した際に凝縮し,その後,凝縮水が再び過熱水蒸気中に蒸発する一連の相変化現象について解析を行うため,本年度は,現有装置の改造と,測定器の開発を行った. まず,現有装置の改造については,現有の矩形ダクト型の過熱水蒸気乾燥装置の被乾燥物が設置されるテストセクション部の改造を行い,乾燥中の被乾燥物(低温物体)の相変化に伴う質量変化を電子天秤により連続的に測定できるようにした.さらに,低温物体と過熱水蒸気の接触開始時間が明確となるよう,装置下部から気流とは隔離された状態で低温物体を装置内に設置することを可能とした.そのため,気流と低温物体の接触開始時間が数〜数十ミリ秒程度の誤差で定義できるようになった.この改造により,低温物体をして常温のジャガイモを用いて,初期凝縮を含めた時間的な質量変化を連続的に測定することが可能となった.その結果,これまで定量的な評価が行われてこなかった,本現象の凝縮量,凝縮時間,乾燥時間など,非定常相変化現象の特徴を示す数値を実験的に得ることができた. 次に,高速非定常相変化現象の時間・空間的な熱・物質移動の計測装置として,シュリーレン法を用いたレーザーによる透過型の可視化装置の開発を行い,現在,測定装置としての精度と,記録方法について検討を行っている.また,これまで,低温物体の温度変化を5Hz程度で測定を行っていたが,1MHz程度で温度や物質移動量の測定が可能なように,これらのレーザーによる可視化ならびに高速センサーを用いた,高速現象の測定法と測定器の開発を行っている.
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