研究概要 |
1次元濃度勾配を持つ部分予混合気の生成と、濃度分布の測定および、その混合気中における火炎伝播速度の測定を行った。 多孔質平板を通したしみだし法を用いて乱れを生じさせずに燃料(プロパン)を燃焼室に供給し、その後平面上にしみだした燃料の拡散作用を利用して濃度勾配を持つ混合気を生成した。しみだし速度を変化させる事で任意の濃度勾配を実現した。燃料のCH結合部に吸収されるHe-Neレーザー(波長3,390nm)光を混合気に照射し、透過光強度を測定する事によって混合気中の燃料濃度の測定を行った。また、レーザー光を走査させることで、燃焼室任意の場所における濃度を測定し、濃度勾配を決定する技術を開発した。 上記方法で生成した部分予混合気に平面状に設置された多数の熱線により近似的に面点火させ、火炎の伝播する様子を高速度シュリーレン撮影した。この火炎位置の時間履歴より、燃焼室の任意の場所すなわち任意の当量比の混合気が存在する場所を通過する火炎の伝播速度を求めた。 この結果、濃度勾配の大小にかかわらず、当量比1.1付近で伝播速度が極大となるを確かめた。これは、現在までに知られている濃度勾配を有さない均一予混合気中の火炎伝播で得られた結果と定性的に一致する。しかし、同じ当量比の混合気でも、濃度勾配の大小によって伝播速度の絶対値が異なることが判明した。すなわち、濃度勾配が大きいほど火炎伝播速度が高いことが分かった。
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