研究概要 |
◎パルス管冷凍機 パルス管冷凍機の設計手法に関する検討を行った.特に,パルス管冷凍機の形状寸法が冷凍機性能に与える影響を調査した従来の結果を援用すると共に,シミュレーション計算による結果を設計手法の中に有機的に取り入れることによって,簡易的な設計手法を構築した.特に,パルス管部分と運転条件との最適状態を決定するために導入れた,"Volume Ratio"はパルス管容積に対するオリフィスバルブを1サイクルに通過する動作流体の総体積の比であり,これが0.5という状態がその形状条件における最低到達温度を記録することを把握した.また,諸損失(蓄冷器部分の実験的情報を含む)を考慮に入れたシミュレーション計算によって,得られる低温度と冷凍負荷との関係を概ね把握することが可能となった. ◎熱音響冷凍機および熱駆動発振器 熱音響冷凍機と熱駆動発振器を組み合わせることによって,完全に機械的可動部分が存在しない冷凍システムの構築を実現した.特に冷凍能力や効率の面で特筆すべきものではないが,138Wの電気入力に対して14Wの冷凍能力を室温状態で得ることに成功し,総合効率が10.18%を記録した.ここでは,機械的可動部分が存在しない特徴から,特に長期にわたるメンテナンスが難しい状況での冷凍システムの構築が可能であることが実証された. ◎性能評価に関して パルス管冷凍機のような極低温冷凍機や構造が簡単な熱音響冷凍機は,従来のエネルギ輸送効率の観点での成績係数だけでは評価できないメリットを持っていることが指摘されている.特に,パルス管冷凍機では得られる温度領域の広さと温度到達の早さには特筆すべき点があり,また熱音響冷凍機では構造の簡易性が性能評価において有利となる面を持っている.今後も,さらに多くの観点から冷凍機システムの性能評価を行い,ケーススタディによる適用領域の模索を続ける必要がある.
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