本研究では、分布型センサ/アクチュエータの形状設計手法開発およびこれらと制御系の同時最適化を目的として、圧電フィルムセンサ/アクチュエータが貼付された梁を知的構造システムのモデルとしてとりあげた。柔軟梁の表裏に任意形状に成形された圧電フィルムを貼付し、一方の圧電フィルム(センサ)からの電圧出力を、もう一方の圧電フィルム(アクチュエータ)に速度フィードバックさせる構成とし、エネルギー原理に基づき基礎方程式を導入した。次に、振動モードのひずみ関数の重畳によってセンサ/アクチュエータの形状を決定する手法を提案し、これを導出した基礎方程式に適用することにより、設計者が選択した複数の振動モード、すなわち振動モード群のひずみ関数の重畳によって表現される形状に成形すれば、当該モード群が検出・制御可能であることを示した。次に、梁の境界条件を両端単純支持とした場合について、この重畳和はフーリエ級数展開で表現できることに着目し、研究代表者らが従来複数モードの振動制御に有効であるとしてきた三角形状センサ/アクチュエータは、本手法の観点からは全振動モードの検出/制御に適する形状であることを明らかにした。センサ/アクチュエータの動作特性に関する予備的実験のために、幅30mm、長さ400mm、厚さ1mmの両端単純支持梁に1次と2次の振動モードを検出/制御可能に設計された圧電フィルムを貼付し、制御回路をアナログ電子回路で構成した実験装置を作製した。梁が衝撃入力を受ける場合の減衰自由振動について非制御時、制御時のセンサ出力、および非接触変位センサよって測定した梁の変位応答を測定した結果、実際に2つの振動モードに制御効果のあることを確認した。
|