本研究では、指型のロボットハンドによる人間のような高度な物体の把握・操りの実現を目指して研究を進めている。 様々な対象物の把握・操りが行えるためには、対象物の事前情報を出来る限り用いないことが好ましい一方で、適切な把握力を決めるためには指と対象物との接触位置と、その位置での対象物形状の法線ベクトルの取得が最低限必要であると考えられる。本年度、力・モーメントが取得可能な6軸力センサ情報を用いた接触点、法線ベクトルの計算アルゴリズムを開発し、実験的にも有効性を確認した。 また、人間のような高度な把握・操り制御系の実現のための制御アルゴリズムの開発も重要である。把握・操り制御系においては、数学的な取り扱いの容易さのため、指と対象物の転がりの影響を無視することが多いが、実際には指は大きさを持つため転がりは避けられず、そのために対象物の操りの軌道に誤差が生じることが指摘されている。本研究では、3自由度の指3本から構成されるシステムに対し、指先の転がりの影響を考慮した定式化を行い、転がりの影響を考慮することで誤差の少ない対象物の操りが実現出来ることをシミュレーションにより確認した。 また、本年度ワイヤー駆動型の3自由度の小型のハンド3本を製作し、各ハンドの動作が行えるようになった。今後、上記で得られた制御アルゴリズムを含め、対象物の把握・操りの制御系を実装していく予定である。
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