研究概要 |
1.視覚サーボ系の制御理論的定式化・・・作業環境とロボットの位置・姿勢の関数として画像特徴量を記述し,特徴量の時系列として作業を定義した.この定義により,カメラによる観測は「ロボットと環境の相対的位置・姿勢を特徴量に写す非線形写像」と解釈できる.一方,ロボットが非ホロノミックな拘束を受けるとき,その拘束は不可積分であるため状態を低次元化することはできない.したがって,作業のモデルを非ホロノミック拘束つきの非線形微分方程式で表現した. 2.幾何学的構造の解明・・・1.で得られた微分方程式の拘束条件の幾何学的構造を解析することを試みた.まず,ロボットの運動に課せられる非ホロノミック拘束を特徴量の動きに変換した.特徴量の動きにかかる拘束の幾何学的意味を解明することはできなかったが,画像平面内でフィードバックループを閉じる制御系,すなわち,ロボットの位置・姿勢を計測せずに完全に画像フィードバックのみで制御するロボット制御系を構成することが可能となった. 3.幾何学的構造に基づく制御系設計・・・制御対象の幾何学的構造に着目し,幾何学的構造を積極的に利用するフィードバック制御器を設計する計画であったが,幾何学的構造の意味を明確にできなかったため,従来の非ホロノミック系に対する制御系設計法を画像べースの視覚サーボ系に適用するにとどまった.しかし,ロボットにデッドレコニングの機能を与える必要がないので,完全な画像べースの制御系を構成した意義は大きい. 4.ラジコン自動車と小型ラジコン飛行船(blimp)を用いた制御実験・・・3.で求めた制御系を自動車とblimpに実装し有効性を検証した.具体的には,自動車ではさまざまな初期位置からの車庫入れが可能になった.また,小型ラジコン飛行船では,上下方向の制御はできないが,高さが一定の平面内では目的位置への飛行が可能になった.
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