本年度は実用的なシステムを構築する上で重要となる、1)一般のCADシステムとのインタフェース、2)力覚提示デバイスの6自由度化、などについて研究を行った。まず1)については一般のCADシステムとのデータの受け渡しを考慮した場合、現在の段階ではそのインタフェースとしてa)ダイレクトトランスレータ、b)共通API、そしてc)共通データフォーマットの利用が考えられたが、考察の結果、c)が汎用性などに優れていること、そして、実際にIGESを用いたトランスレータを作成しその有用性について、研究発表(1)において述べた。ついで2)については、使用していた3自由度の力覚提示デバイスの6自由度化を行うにあたり、最適な力覚提示デバイス機構を考察したところ、a)力覚提示デバイスの性能の評価手法b)力覚提示デバイスの機構の最適化手法の2つが重要であることがわかった。 そこで、力覚提示デバイスの性能評価について考察したところ、従来提案されているマニピュレータの評価を基にした評価手法では、その性能を適切に評価できないこと、さらにこれを可能にするために、加工誤差や組立誤差に起因するリンク長やセンサ取付位置の誤差などの機構のパラメータ誤差を考慮し、操作者がデバイスに与える操作力とこれを基に計算され実際にデバイスから提示される力の間の線形関係を評価する非線形指数を提案した。(高橋秀智、舟橋宏明、武田行生: 精密作業のための力覚提示デバイスの最適機構設計、日本バーチャルリアリティ学会論文誌、投稿中)さらに、機構を最適化する手法について研究を行い、遺伝的アルゴリズムを利用した機構最適化システムを構築(研究発表(2)並びに上述の文献)し、上述の評価手法を考慮し最適機構を求めた結果、優れた特性を有する力覚提示デバイスの機構設計が行えることを示した。
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